欲張りな彼女


三人の思春期の子育てに翻弄されながら、
自分の立ち位置がわからくなっていた。

反抗期の長女から、
「お母さんみたいになりたくない。
 人のことばかりして毎日大変ぶって、
 イライラして全然楽しそうじゃない。」

いや、ほとんどの原因はあなたですから!

と、言いたくなったけど、
私自身、本当に楽しくはなかった。

ママ友に会っても、
子供や夫の愚痴になり
自分の判断にも自信がもてない。
離れて暮らす夫に 
「ねぇ、どう思う?」
と、尋ねても、面倒くさそうに
「うーん、いいんじゃ?」
と言われて、ますます不安になる。


何がいけないんだろう。
どこが間違ってるんだろう。
答がほしくて、
本を読んだり、
ネットでもいろいろ捜してみた。
コミュニケーションスキルを磨く
NLPの体験会を見つけた。
コミュニケーションの
方法が問題なのかも?
思い切って出かけることにした。

新しい世界はやはり新鮮で
ワクワクした。
輝いて見える綺麗な女性の講師。
洗練された話し方。

何かが見つかりそうな気がして
通うことにした。

でも、見つけたのは
答でもなく、スキルでもなく

欲張りな彼女だった。


最初から気になっていた。
私より若いのに、何かどっしりとした
落ち着きがある。


最初のワークで組んだのが彼女だった。
自己紹介ではなく、
相手に自分の紹介をして
相手から組んだ方の紹介をしてもらう、
他己紹介のワークだった。

声も素敵で、最初のワークを
一緒にできることが
嬉しかった。


「どこかでお会いしたことなかったですか?」
私が尋ねると、
「いいえ。でも知ってる気がしますね」
そう言って、彼女は微笑んだ。


今、振り返ると、彼女に出会うために
NLPに参加したんだなぁと思う。


その時から8年近くの月日が流れて、
今ではかけがえのない友人である。
彼女の魅力は
外見の美しさはもとより
その欲張りな生き方だと思う。
  
                
最初はわからなかった。
彼女の芯の強さみたいなものが
何なのか。

NLPのワークを通して
一気に親密になったみんなの
高すぎるテンションに
1人普通の感覚で
用事がある時はサラリと帰り、
残りたい時は自然にそこにいる。

回を重ねるごとに、彼女に目がいく。
隣に座ることが多くなり、
話してみると
興味があることがすごく近い。

NLPの講座を終えても、
連絡を取り合うようになった。
一緒に神社巡りをしたり、
食事をするようになって、
徐々に彼女の魅力に気づき始めた。



彼女が一番大事にしていることは
いつも イマ(現時点) なのだ。


その選択に妥協はない。


一見ワガママに見えるその行動に、
最初はちょっとドキドキした。
「え?今からそんなとこまで
 ご飯食べにいくの?」
「だって、せっかくなら
 美味しい物食べたくない?」


だいぶお昼を過ぎていても、
お腹がなっていても
彼女は美味しいものを諦めないのである。

それが4人くらい同乗していても然り。
でも最後にはみんなが笑顔になって、
舌鼓をうち、ここまで来て良かったね〜、
となるのである。
食べ物の例でいいのか、
って気がするけれど、
彼女は食べ物へのこだわりが
一番強いから仕方ない。


私ならとりあえず何が口にしておけと
お腹すいたしね、この辺で〜と
手近なところでほどほどの満足を選ぶ。
でも、彼女はそのシーンで、
美味しお店を検索して
かかる時間を見て、皆の
同意をへて
ターゲットに向かって
爆進するのである。
ブロロローン〜と。



私は「お付き合いで〜」と
言う言葉をよく使っていた。
でも彼女はそれを使わない。
お付き合いで何かをしたくない、
と言う。
できるだけ、
やりたいことしかしたくないのよね、と。


社会人がそれでいいのかなぁ、
と、またちょっとドキドキする。
私が子供達の話をして
普通はさ〜って言うと、
普通って?
とサラリと問われる。


私の中で普通、普通、普通って
普通の答えを捜し始める。
要するに彼女といると、
私は混乱しはじめる。



私が普通と思ってたことは、
わがままな主張だと思っていたことは、
こだわりは執着じゃないの?


あれもこれも叶えるって
欲張りじゃないのかな?
じゃあ彼女は欲張りでワガママなの?


でもだとしたら、
どうして魅力的に見えるの?


 ソモソモ 
 ヨクバリ ト 
 ワガママ ハ 
 イケナイコトナノ?


そんな疑問がわいてきたのである。



今まで普通や常識的にって言葉も
よく口にしてきた。
夫にも子供にも、
もっと普通にして〜、
常識的に考えればおかしいでしょう?


じゃあ、フツウとジョウシキテキの
中身はなんだ?

ナカミハナンダ?


なにかの物差しがあったのかな?


私の中にすら、
その基準のモノサシが
なかったことに気がついた。


普通と常識的って言葉の
中身は空っぽだった。



あああああーー!!!
ムンクの叫び!状態なのである。



そんな抽象的な言葉
子供達をずっと叱ったり、
注意してたんだと、
彼女を通して気づいたのである。


でも誰よりもその言葉に
縛られていたのは
私だった。


今になって思う。
私は誰だったのだろう。
良い母に、良い妻に、良い嫁になりたかった。
なんの実体もない「良い」に縛られていた。


娘のセリフに傷つき、
イライラして楽しくない母親を
返上したくて、
答えを見つけたくて、
ぐるぐる周り道をしながら出会った
欲張りな彼女と
いろんな経験を重ねながら
彼女の在り方から教わったのは、


自分のイマを大事にすること
欲張りに見えても、
ワガママに見えても
私の声を聞いてみようよ。
小さな心の声を無視しないで
まずは聞いてみてよ。


   
そう、彼女は伝え続けてくれた。
今、少しずつこれが私と言える。


わたしの声が聞こえるから。
小さな私の声の積み重ねが
イマの私を作っているから。




そんな欲張りで素敵な彼女を
ご紹介します。

Joy of life 小原歩さん

彼女の教えるボイジャータロットは本当の自分に向き合う最強のツール。
アクセスバーズは自分の声に耳を傾けるために
賑やかすぎる思考の雑音を外してくれます。
そして心と体を見守る波動のパワー AUWA
必要な方に届きますように。

トリニティ

回り続ける三つの渦が、 織りなす世界を綴ります。